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彫刻家 M野邦昭 アトリエ・ギャラリー

下関が舞台となった二大史実の彫像

『平家物語文学碑 』『高杉晋作と奇兵隊』

 

 平安時代末期の寿永4年(1185)3月、西へ西へと追われた平家一門は、壇ノ浦で最後の戦いを源氏に挑みます。
しかし、合戦は、海峡の潮流を味方につけた源氏が勝利をおさめ、平家は滅亡しました。これより日本政治は貴族政治から幕府による武家政治へと、時代が動いた瞬間でもありました。
 武家政治の時代は徳川幕府の大政奉還までの700年続きます。そして、武家政治の終わりを招いた明治維新は、同じこの関門海峡で勃発した文久4年(1864)の下関戦争(馬関戦争)でした。長州藩が四カ国連合艦隊(英米仏蘭)と戦い、長州藩が惨敗。
しかし、この戦いをきっかけに「開国」へと明治維新に突き進んでいった日本の歴史の節目を刻んできた場所です。


海峡が見守ってきた歴史を振り返る時



 遥か彼方、水平線に引き込まる一筋の雲を追う。暫し、関門海峡の、泡立つ波を前にして、この地での歴史の一齣に思いを寄せてみる。
   静かに、そして、密かに。
 体内にマグマを溜め込む、あの、火山のように。正に、その時を得て、不動の山も、遂に、その正体を現す。時代を生き抜くことの意味を、流れ行く、白き雲に悟り、紅の風が、その背を熱く押す。

ー 盛哀興亡 ー 
 歴史の息づく魂が、心の中で、今も尚、力強く叫び続ける、この関門海峡の地。今や、世界は、ありとあらゆる情報が、瞬時にして飛び交う時代。歪んだ魂。そして、濁りきった日常に生きる、非常で冷酷なる現実の断片を見る。

ー 清濁併呑 ー 
 この広き心の内に、時の変革を成し遂げた、高杉晋作と奇兵隊の姿が、ここでは、二重写しとなり、胸に迫り来る。
海峡の、青き波間に透けて見える、潔さ纏った、清き精神の欠片。

ー 紫電清霜 ー 
 正に、清廉なる魂をもって、一気に、激動の時を駆け抜けた。 

  全ては、此処から始まった。

 眼前の、深くて、広い海に目をやりながら、静かに、そっと問いかけてみる。

   熱く燃える志とは・・・・・・・・・・。

   果すべき務めとは・・・・・・・・・と。


下関が舞台となった二大史実の彫像 
『風の予言者 高杉晋作と奇兵隊』
『平家物語文学碑 』
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